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2013年12月25日 (水)

小さな君の雪だるま

pen小さな君の雪だるま

by 理沙

Photoメリークリスマス~!

皆さんいかがお過ごしでしょうか。

今年のクリスマスSSです。

時間は遡り、地球を出航した年のクリスマス数日前の出来事です。

天使になった気分で、雲の隙間から彼等を覗いて見て下さい。(笑)

それではどうぞ!

ヽ(´▽`)/heart04

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それはまだ、私達の宇宙が出来るずっとずっと前、生きとし生けるものの種(たね)である「魂」達が、『命の源』から生み出され、天使によって育てられていた頃のお話――。

花々が満開に咲くある場所で、その金色に輝くばかりの少女は、じっと七色に輝くある湖の水面を見つめている。

そこは辺りが何故かうっすらと雲で覆われた、不思議な場所だった。

少女はそこで花を摘んで遊んでいたのか、辺りに花束が散らばっていたが、やがて飽きたらしく、鼻歌を歌いながらその場で寝そべり、両頬を付いて嬉しそうに湖面をのぞいて見ていた。

まるでその中に、楽しいものでも見えているのかの様に。

「…おや、何処へ行ったのかと思ったら、こんな所にいましたか。」

そんな少女に柔らかく声をかけて、フワリと輝く天空から舞い降りる者がある。

白金の長い髪を1つに束ね、美しい黄金の衣装に身を包んだ、大きな4翼を持つ天使だった。

「駄目ですよ。私の傍を離れる時はちゃんと言わないと。『時を映す湖』など覗きに来たりして、どうしたのです?」

「ね~、ガブリエルさま~。」

少女は寝ころんだまま無邪気に天使をそう呼び、彼に尋ねる。

「あれが、『ニンゲン』って言う生き物でしょ~。行ってみたいな~…。」

「…?」

大天使ガブリエルは、微笑みながら少女の横にしゃがみ、少女の頭を優しく撫でて触れながら瞳を閉じている。

すると、何処かのある人間の若い男女が、何故か雪だるまを作っているのが彼の脳裏に見えた。

女性の方は、既に少しお腹が大きいようだ。

それを知ったガブリエルは、やがて何故かフッと笑って少女を見ていた。

「…そうですね。貴方が成熟するのはもう少し、ここの我々からすれば、本当に少しの間ですよ。貴女は元々『命の源』から選ばれたる使命を持ち、それ故にここで育てられている、愛された『魂』なのですからね。その役割は沢山あるのですから、じきに訪ねて行けますよ。」

「直ぐに行けないかな~…。ね、少し位早くてもいいでしょ?ガブリエルさま~。」

「こらこら。私にねだったって、そうはいきませんよ。ちゃんと貴女にも、時の順序って言うものがあります。」

「だってェ~…。」

少女は水面に映る、ある小さな「雪だるま」を指差した。

「あれ、いーなぁって思ったんだもん…。」

無邪気にちょっとぷっくりと頬を膨らませながら、再び視線を戻した少女は、再び水面の様子を伺い続けている。

ガブリエルはそんな少女を優しく見守りつつ、にこやかにほほ笑んでいた。

雪が降り続けているその日、輝は仕事の後、未沙から「イチゴ」が食べたいと突然言われて、要望通りに買って来ていた。

現在、彼女が妊娠中である事から、無理がない様に23日の今日、早い時間帯に内輪だけのささやかなクリスマス・ホームパーティーをするのだが、ケーキのイチゴが食べられると言うのに、今日の彼女はイチゴを大量に食べたいと言うのだ。

妊娠初期を過ぎて中期に入り始めたから、お腹の中の赤ん坊が要求するのか、どうもこういう嗜好になりがちなのだが、やっと健康状態も安定して来たので、彼は何に於いても嬉しくて仕方がない。

彼女が求めるのなら、何でもしてあげたいのだ。

つわりの酷かった時期が続いていた為、とにかく食べたいと言うものを買って来るのが、最近の輝の日課にもなっていた。

2人の自宅前に戻って来ると、未沙が用意したのか、クリスマスらしくささやかに玄関を植物などで艶やかに飾り付けてある。

相変わらずきちんとしていて、センスがいいなと考えていると、今朝まで玄関の左手に、クリスマス仕様に飾ってあったゴールド・クレストの大きな鉢が、何故か無くなっている事に気付いた。

「…あれ?」

だからその部分だけ、妙に空間が空いてしまい、その場に今朝から降り続けている雪が降り積もっていたのである。

「どうしたのかな…。」

立派な大きさに育っていて、結構奇麗だったのだが…。

少し変に思いつつ、輝は玄関を開けた。

「ただいま~。」

「あら、お帰りなさい。早かったのね。」

パーティの準備をしていたのか、丁度未沙は廊下を歩いていたのだが、静かに踵を返して彼を笑顔で出迎えてくれた。

マタニティ姿の彼女の柔らかな様子に、輝も思わず柔らかくなって微笑み返している。

子をその身に宿した女と言うのは、こんな風に穏やかなものなのだろうか。

彼はそんな事をふと感じつつ、スニーカーを脱ごうとして玄関先に座った。

「…まあね。こういう時は皆早く帰りたいだろうし、上官の俺がどんどん帰らないとそれより先には帰れないものだからね。後でスカルの奴らも、暇な奴だけ挨拶に顔を見せると思うよ。…ほら、イチゴ。」

「まぁ、大きいわね。凄い美味しそう!…ありがとう。」

「だろ?ママだけでなく、『小さな君』のご要求だもんな~?ママと君が気に入る美味しいの買って来なくっちゃ。」

輝は喜ぶ未沙に答えつつ、そのままその手首を引っ張り、彼女の腰を引き寄せて下腹部に耳を当てていた。

「まぁ、輝ったら…。」

「4か月か…。まだ、動かない?」

「ウフフ…。きっともうすぐよ。」

未沙は照れ臭くなりながら、頬を染めた。

だが輝はそこで、玄関の端に根っこの方が袋に入れられた、例のゴールド・クレストを、視線の先に見つけていた。

「…あれっ?これ、こんな所に…?何、まさか鉢が割れちゃったの?陶器の。」

見れば飾りは付いたままだったが、鉢が無く、根の部分がビニール袋で覆われていたのだ。

「ああ、それね。」

未沙はクスリ、と苦笑いをした。

「さっきまで近所の子供達が、家の外でサッカーやっていてね。ボールが飛んで来て、見事に…。」

「…はは~ん、そういうわけか。折角お客さん用に飾ったのにね。」

「仕方無いわ。ちょっと玄関が寂しくなっちゃったけれど、明日にでも新しい鉢を買ってくるつもり。私は明日明後日と休暇入れたもの。」

未沙は肩をおどけて、茶目っ気一杯に笑う。

「ダメダメ、これだけ大きいと鉢も重いだろうから、それは俺が買って来るよ。」

「あら、大げさよ。それに自分で好きなの選びたいし。」

「う~ん、俺は早番の後休暇突入だしな~。そうか…わかった。じゃあ明日昼休み頃、時間見つけて1度戻るから2人で行こう。ここに運ぶのはやるよ。」

「そうね。じゃあ、お願いするわ。」

しかしそんな会話をした後、輝は何故か靴ひもを外そうともせず、考え事をして腕を組み、暫く黙っている。

「…輝?」

「でも、それまで何だかあそこ寂しいよな~…。よし。」

そこで輝は立ち上がり、玄関ドアを開けてストッパーで止めたかと思うと、その場にしゃがんでいた。

「…?」

一体何を玄関先で始めたのかと思い、未沙が玄間先のクロークからショールを出して肩から羽織り、サンダルを履いて、しゃがんでいる彼の様子を見る。

何と彼は、玄関ポーチの周りに降り積もっていた雪を集め、雪だるまを作り始めていたのである。

「こんだけ降っているんだ。直ぐ出来るよ。」

そんな事を言いながら、輝は悪戯っぽく笑い、その空いている場所にどんどん雪だるまの形を作り上げていった。

未沙は暫く、その成り行きを唖然と見てしまっていたが、やがて見ている内に、自分も手伝いたくなってウズウズして来てしまう。

「…あ、ああ、そうだ!色々付けるもの持って来るわね?」

「ああ、たのむよ。」

未沙は目や口にする為に、ボタンや飾りに拾ってあった木の実を並べて、近くのバケツや植木鉢受けを持って来ている。

2度目に傍に来て輝にそれらを渡す為に戻って来ると、早くも雪だるまは、まるで寄り添う用に2つ作られていた。

「まぁ、上手に出来ているけれどこれ…クスクス…。もしかして、私と貴男?」

未沙は思わずそれを見て、少々苦笑いをしつつそう言ってしまう。

何故なら、1つは大きいボーリングの玉位の大きさで、もう1つはそれより少し小さいサイズだったが、小さい方には、胸の部分にちゃんと「おっぱい」のようなものが2つ付けられていたからだ。

明らかに、「女の子の雪だるま」と言うのがわかる。

「エッチ。」

「ハハハ…まぁ、実はそうだったりするんだけど――。」

ところが彼はそこでまだ手を止めず、まだ掌の中で雪玉を2個作っている。

それを今作った大きな2つの雪だるまの間に寄り添うように2つ重ね合わせて、2つの雪だるまよりも小さな、子供の様な雪だるまを完成させていた。

「…小さな君も、作ってあげなくちゃね。」

その瞬間、輝の言った意味がわかり、未沙の嬉しそうな笑顔が輝く。

「まぁ、家族の雪だるまね?」

「これだけ寒いから、結構長く持つと思うよ。この空間をちょっと埋めてもらおう。」

「いいアイディアね!」

それから先は2人で童心に帰り、より立派にしようと夢中になって飾り付けをする。

「…よし、こんなもんかな?」

やがて雪だるま達が何とか完成し、輝は彼女の楽しそうな笑顔を見つつ立ち上がると、寒さから守る様に未沙の腰を背中から抱き、2人で暫く3つ並ぶ家族の雪だるまを眺めた。

「…今に本物も、直ぐにこうなる。」

「私は、このお母さん雪だるまみたいに、まん丸いお母さんになるつもりはないけど?」

「ウン、確かに。俺も『出ている所は出ている』雪だるまがいいなぁ。こう、ボン、キュッ、ボンってさ。」

「ん、もぅ!貴男こそ、隣のお父さん雪だるまみたいに、お腹が出たりしたら承知しないんだから!」

「アハハハ…。」

そう言って悪戯っぽく笑う輝に、未沙は真っ赤になって抗議しながらも、照れ臭そうに彼の肩にしな垂れかかって、その幼さを残す横顔を見つめた。

その整った横顔が、本当は愛おしくてたまらないと思っている事は、彼には内緒だ。

「…あ、そうだ。確か、暖炉の飾りとして作った、フェルトの靴下の残った切れっ端もあったわ。あとで、雪だるまさん達のケープとかマフラーにしましょうか。裸のままじゃ寒いもの。」

「いいね。今日のお客さんを出迎えてくれる楽しい飾りにもなるよな。」

「ええ、早速準備する…、あっ!」

未沙が明るい表情でそう答えようとしたが、未沙がピクリと顔を震わせた。

すかさず下腹部に触れている。

「どうした?」

「…動いた。」

「えっ?」

「ねぇ、今動いた!赤ちゃんがお腹で、初めて…!」

「ホントか!?」

「ほ、ほら、また!」

幸せな気持ちで笑ったからだろうか。

まるでぐるぐると踊る様に突然、小さな命が反応したのが初めてわかったのだ。

輝が驚きの笑顔で、その目を丸くしながらそっと下腹部に触れてみている。

「おおっ!凄い、動いてる、動いてる…!」

確かに、まるで一緒に笑っているみたいにモゾモゾと動くのを感じる。

新しい命が、確かにそこにいるとわかる瞬間だった。

「…俺達が笑っているから、君も楽しいんだよな、きっと。」

「生きているのね。ちゃんと。」

「ああ、生きている。今まで失ったものばっかりだったからな。こんな嬉しい事はないな…。」

やがて彼らは感無量になりつつ、その喜びに微笑み合いながら踵を返し、軽くキスを交わしながら、暖かい家の中へと入って行くのだった。

「…だって、赤ちゃんの雪だるま、まだ生まれていないのに、ちゃんと作ってくれているんだよ。だから赤ちゃんも笑ったんだよ。きっとあの人達の所は凄く楽しい所なんだよ、ガブリエルさま。」

「確かに、愛が沢山溢れていますからね。」

「だからね、いいなぁって思ったの。私もあの雪だるま欲しいなって。だからあそこへ行ってみたい。」

「――…。」

「でも、やっぱりまだ駄目だよね。『命の源』さまとのお約束だもん…。」

彼は再びその美しい手で、彼女の頭を労わる様に優しく撫でていた。

「お約束を守れば、きっと何時か行けますよ。」

「ウン!」

「…フフ、本当に貴方は、賢い目をお持ちなのですね。」

ガブリエルは何かを知っているのか、キラキラと輝きながら、少女の嬉しそうな笑顔を黙って見つめていた。

「さぁ、それでは行きましょうか。皆が待っていますからね。」

「はあぁーい。」

少女は雲上に立ちあがって、ニコニコと無邪気に笑いながら、手を差し伸べるガブリエルの手を掴んでいる。

天使が4つの大きな翼を次々と広げると、やがてその少女の姿は、ひと際輝く黄金の光の玉となって、彼の掌の上にすっぽりと納まっていた。

ガブリエルはそれを大事そうに掌で包むと、一気に光の筋となってその場から飛び立っていくのだった。

それはまだ、私達の宇宙が出来るずっとずっと前、生きとし生けるものの種(たね)である「魂」達が、命の源から生み出され、天使によって育てられていた頃――。

愛に満たされた「雪だるま」を欲しがった、小さな君のお話。

おわり。

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コメント

ラブラブ ヒカミサ話ありがとうございました。特に未沙のクリスマス姿の絵がとても可愛らしくて、とても良いです( ´ ▽ ` )ノ。

投稿: my | 2013年12月25日 (水) 13時04分

雪国から覗き見させていただきました(o^-^o)
可愛らしい輝雪だるまにクリスマスの未沙さんの絵、素敵ですね。
家族愛が溢れるXmasのお話しご馳走さまでした。

今年も大変お世話になりました。来年も愉しいマクロス年になることを祈っております。

投稿: くまお | 2013年12月25日 (水) 17時29分

sunmyさま。
いらっしゃいませ!
( ^ω^ )
何だか忙しい日々が続いていて、自分的には吟味不足の駄作となってしまいましたが、読みに来て下さって有難うございました。
せめて未沙の持っている「輝雪だるま」を可愛らしく、と思って描きましたが、気に入って下さって嬉しいです。
挨拶が早いですが、来年もまた遊びに来て下さいね!
(*´人`*)heart01

投稿: 理沙 | 2013年12月25日 (水) 18時39分

sunくまおさま。
いらっしゃいませ!
ヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ
吟味が足りないとは言え、少しは楽しんで頂けたでしょうか?
ここでの「ガブリエル」は、翼が4枚…つまり、ローズ・エデン王国での「大天使」時より、若かりし頃と言うわけなのですが、その傍にいる「金色に輝く少女」に実は意味があったりします。
天使達が時の彼方で見つめる2人の幸せな世界が、来年も紡いでいけたらな、と思っております。
来年もどうぞ、遊びに来て下さいね!
( ^ω^ )V


投稿: 理沙 | 2013年12月25日 (水) 19時17分

わぁ~い わぁ~い
雪達磨 雪ダルマ ゆきだるま

バボは、肉達磨~ ゴロンころ~ん

未来ちゃん、産まれる前から好奇心旺盛だぁ~(笑)

投稿: 敦賀屋 バボ | 2014年1月 5日 (日) 06時46分

sun敦賀屋バボさま。
明けましておめでとうございます!
早速のお越し、有難うございました。
私も現在、過食気味の我が胃袋を減らしている所でございます。
お互い、雪だるまだけは避けたいですものね!(笑)(`・ω・´)シャキーン

投稿: 理沙 | 2014年1月 6日 (月) 23時31分

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