« 君の生まれた日に | トップページ | はじめに »

2014年7月 7日 (月)

星の島

pen星の島

by 理沙

Photo

こちらでは、マジでお久しぶりでございます~。(笑)

m(_ _)m

久々の七夕番外編でござりまする。

家族が出来ても、アツアツのふたりをどうぞ。

(=´Д`=)ゞ

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

「ママ~、おかえりなさ――い!」

「奥様、お帰りなさいませ。」

数日間、エデンの地方都市に視察に行っていた女王は、その日幼稚園から帰って来た6歳の未来とリカルド、そして2歳に満たない翔の賑やかな出迎えを受けていた。

居間の空間には今日、7月7日七夕の為の大きな笹飾りが飾ってあり、城中の者達の願い事が書かれた短冊と飾りが、沢山彼女を出迎えていた。

3人のナニーを務めている中年メイド・マーサの傍にいた翔は、母の未沙の顔を見た途端、直ぐ様その膝元にひしっと飛び付いている。

未沙はそんな翔を抱き上げ、頬に沢山キスをしていた。

「ただいま、3人とも。良い子にしていた?」

「してたよ!ちゃんと、翔の世話もしていたもん。ろなるどは遊んでばっかりだったけどね~!」

「お、オレだってちゃんと見てただろ!?ひめがピアノのレッスンの時とか~!」

「翔ほっぽっといて、サッカーボールで遊んでばっかだったじゃないの!」

「し、仕方ねぇだろ!?翔はまだ、そんなに動けないんだから~!!」

「あらあら…。」

相変わらず賑やかな3人をそれぞれ微笑ましく見ながら、未沙は2人をなだめた。

「どんな形にしろ、2人ともママの代わりをしてくれたのだから、本当にありがとうね。そんないい子達には、お菓子の他に七夕に相応しい珍しいお土産があるから、喧嘩しないのよ?」

「お土産――!?」

沢山のお菓子の他にお土産があると聞いて、2人は喧嘩なんか忘れてパァッと明るい表情をした。

未沙はまず、買って来た菓子を居間のテーブルの上に開け、1つ取って翔に手渡した。

その後、持っていた旅行バックから、小さな3つの小瓶を出していたのである。

その中に白い星の形をした粒と、艶やかで奇麗な貝殻がいくつか入っていた。

2人の大きな瞳がそれを見た途端、好奇心で見開きキラキラと輝き出す。

「マ、ママ、これなぁに?きれい…。」

「すげぇ!星の形してるぜ、この中の白いやつ!!」

「うふふ…。それは、『星の砂』と言うのよ。」

「星の砂?」

未来とリカルドは不思議そうに顔を見合わせた。

「サンゴの死骸が集まって海に洗われたものよ。まさか星の砂のある場所が、この星にもあるなんて思わなかったけれどね。」

「えっ?これって、もしかして故郷の地球にもあるのか?」

「地球のはずっと小さいサイズだけれどね。あちらは文字通り、砂粒の大きさよ。」

確かに、瓶の中のそれは砂粒などではなく、明らかに5ミリ程の金平糖サイズの大きさだ。

「今回視察に行った場所に、こういう不思議な所があったのよ。護衛のお勤めで一緒に来てくれていたパパが見つけてくださったの。」

「へ~…。」

未沙は少々頬を染めながら、嬉しそうにその時の事を話していた。

ローズ・エデン王国が出来て3年弱が経った頃、星のある程度の調査も終わり、女王は人の街にする部分と、自然の保護をする場所とを分けて指定し、開発が始まって行った。

基本的には自然との共存を進めているのだが、国で守るべき自然の保護は、勿論天使達の意思でもあるのだ。

今回彼女が視察に訪れた土地は、サンゴ礁がかなりの規模で広がる沢山の環礁と島々が連なっている場所で、貴重な動植物も多い為、国定公園に定める予定なのである。

これで人間達が、無碍にそこを開発する事は、国が存在する限り永遠に出来なくなるのだ。

今回はそんな場所の視察に訪れ、土地を管理する人々との今後の保護の課題について、話し合いと交流の為に訪れたわけである。

連日に渡る王家の秘書官達と関係者の視察と交流会に、それでなくても毎日休む暇もない未沙は、流石にほとほとと疲れて来てしまう。

最終日であった今日の前日も1日の視察が終わり、滞在先の宿泊所の自室に戻った途端、そのまま彼女はベッドへとなだれ込んでしまっていた。

それから、どの位経っていたのだろうか。

何かが傍にフッとやって来た様な感覚を覚え、未沙はふと目を覚ましていた。

「…あ、ごめん。起こしちゃったかい?」

「輝…。」

穏やかな表情の夫の瞳を見た途端、未沙は表情を和らげ、優しく微笑んでいた。

「凄くお疲れの様だね。あんまり良く寝ていたから、起こさずに寝ようかと思ったんだけど。」

「もしかして、いままでお仕事?」

「ああ。明日は城に帰るから最終日の準備をね。責任が重くなるとやる事も多いよな。俺はてきぱき出来る方じゃないから、どうしても遅くなってしまう。」

「ふふ…。」

未沙はその苦笑いを含んだ言葉を聞きながら、大きくまどろんで伸びをした。

仕事が遅いとは言っているが、その多くは自身の機体を自らメンテナンスしているだけで、彼は飛行機に対しては、とても慎重で丁寧なのだと言う事を未沙は昔から知っている。

「少し寝たから、目が覚めちゃったわ。」

「そうかい。」

未沙はスッとベッドから起き上がっていた。

そして窓から見える月明かりの中の、眼下に見える海の様子を眺めている。

「うわぁ…今日は月明かりがとても明るいのね。」

2人が今回泊っているのは、この地域の管理の為の、コテージ風のキャンプ宿泊施設であった。

島の中の海の傍に、自然の景観を損なわない様な木造作りのコテージがいくつか建てられているのだ。

この近くに軍の小さな滑走路があり、城のある中央基地から移動手段に使用したシャトルや護衛のバルキリーは、今回その場所に待機している。

「向こうまで海が光っているわ。まるで星の中の光の道のようね。」

「星の中の光の道か…。」

輝もベッドから起き上がって未沙の傍に並ぶと、ふと何かを思い出した様に彼女に言った。

「星、で思い出したけれど、そう言えば明日は七夕の日だったよな。」

「ええ。今回も仕事がこんな風に詰めてしまっているから、今頃子供達は、マーサ達と一緒に、城下街の七夕祭りに行っているかも知れないわ。」

「――…。」

「子供達に、少し寂しい思いをさせているかも知れないわね…。」

そんな少々寂しそうに目を伏せる未沙を、輝はじっと横目で見ている。

母性が強い彼女は、何時だって未来を始めとした子供達の事を、頭に忘れる事がないのだ。

そんな優しい母としての思いやりを知る度、輝は彼女が愛しくて仕方無くなってしまう。

だから慰める様に、彼は突然こんな事を言った。

「…じゃあせめて、子供達に七夕のお土産でも用意しようか。」

「お土産…?」

「実はこの近くに、いい所見つけてあるんだ。…どう?行ってみないか?」

不思議そうに見上げる未沙の表情に、輝は優しげにはにかんでいた。

「…ここに今回視察に来る前、俺が1度調査官と共に足を運んだだろ?」

2人はそれから、基地内の輝のスカル・リーダーに乗り、月明かりの光の道に導かれて浮かぶその場所に降り立っていた。

何とそこは、島ではなく環礁で、珊瑚の白い欠片達が沢山寄せ集まって、スカル・リーダーが乗れる位の島を作り上げている場所だったのだ。

僅か100メートル四方のサンゴ礁の島に、2人は静かに降り立っていた。

「ええ。」

「その時、珍しいものがあるからって、その調査官に案内されたんだ。」

先にその島に降り立った輝の差し出された手を掴み、未沙は恐る恐るその島に降り立っている。

サクッと言う音が鳴り、その島が確かに「陸地」ではない事がわかる。

「まぁ…。」

スカル・リーダーの補助ライトとほのかに明るい月明かりは、周りが海だけの暗い世界を、何とか見える程度に照らしてくれていたが、未沙はその場所を足で踏んでみて、それが普通のサンゴではない事に気が付いていた。

「拾ってみてごらん。」

そう言われて、彼女はその場でしゃがみ、そのサンゴの1つを手に取っている。

「…星の形をしているわ!」

「そう。何と『星の砂』なんだよ。しかも金平糖大の。ここはこの『星の砂』で出来た環礁の島なんだ。」

「何て珍しいの…!」

未沙はそれから、地面の洗われたサンゴを、1つでなく幾つも拾い、1つ1つ形を確かめる様に、目を見開いて夢中になって掌で転がした。

「この辺りは小さな島々と、サンゴ礁の連なったこうした環礁で出来ているけれど、この『星の砂』が固まってあるのは、どういうわけかここだけなんだって。この砂の元のサンゴが、ここだけに生息する種類らしいんだよ。調査員がそう言っていた。」

子供の様に夢中になって『星の砂』を探る未沙を見て、輝は優しげにその様子を見つめる。

「だからここが今回、正式に国定公園とされたら、この珍しい『星の砂』にはもう手が出せなくなるだろ?今の内にお子さん達に少し持って行ってもいいですよって、彼が言ってくれてさ。」

「そうだったの。」

「どう?これを3人に。小瓶にここにある流れ着いた貝殻と一緒に入れてあげれば、いい七夕のお土産になると思うけれど。」

「ふふっ、そうね。きっと喜んでくれるわね。」

2人はそう決めて、僅かな明かりの中で歩き始め、材料を集め出すのだった。

やがて、大体小瓶に入れるものを決めた後、2人は自然にどちらからともなく、ガウォーク状態のスカル・リーダーの足元に寄り添う様に座っている。

こんな奇跡の島に、何だか直ぐには戻るのが勿体なくて、暫くこの美しい場所にいたかったのだ。

美しい柔らかな光を放つ2つの月を眺めながら、やがて2人は誘われる様に柔らかな接吻を交わした。

「…ねぇ。」

「ん?」

「地球から見た『天の川』って、銀河の中心に集まっている星々が、空の川の様に見えている姿なのよね。」

「ああ。」

「と言う事は、銀河の中心付近から時空回廊を通って辿り着くこの星は、地球の人達にとって『天の川』の1つなのかしら?」

「…アハハ。そうかも知れないね。」

彼は未沙をその胸に抱き、共に『星の砂』の上に横たわりながら、頬にゆっくりと接吻を続けながら呟いた。

「地球の人達から見れば、今俺達は星の上で逢瀬を交わしている「牽牛と織女」、かな。」

「――…。」

「普段も本当に仕事が忙しくて、こうして中々抱き合えないのも一緒だし。」

「まぁっ。」

そんな輝の冗談に、未沙は思わず明るくコロコロと笑った。

何時までも愛らしい彼女が愛おしい。

流石にたまらなくなった輝は、急に真顔になってお願いをしていた。

「…だから今、年に1度の大事な逢瀬をさせて下さいませんか?」

こんな所で?と未沙が思わず目を丸くしていたが、誰もいない星の上で愛し合う、それも中々七夕的でロマンチックかも知れないと思い直し、やがて悪戯っぽく返している。

「――1週間に1度の間違いじゃなくて?」

一瞬の間の後、2人はやがて互いに可笑しくなって吹き出し、どちらからともなく月明かりの中に溶け込んでいくのだった。

互いの愛を紡いだ思い出の詰まった『星の砂』。

勿論、子供達にその大人同士の密かなる思い出を話す事は無いが、そこで感じた昨日の「幸福」を隠し切れない未沙は、笑顔が止まる事はない。

子供達は母のその表情に、その場所でこの『星の砂』や『貝殻』を拾った事が、とても楽しかったんだと自然に感じて、流石に羨ましがった。

「いいなぁ~未来も行きたい~、その星の島~。」

「もう行けないの?マム~。」

「そうね。もう国定公園になってしまうから、多分滅多な事では行けないわね。」

「ちぇっ!つまんねーの!」

2人は思わず顔をしかめてつまらなそうにしたが、そんな2人に未沙は告げた。

「だけどね、だからこの小瓶の『星の砂』は貴重になるのよ。だって、この国で貴方達3人しか持っていない事になるのだもの。」

それを聞いて、未来とリカルドは互いの顔を見合わせた後、みるみる表情がキラキラと輝きだした。

「…そ、そういえばそうだよね!私とろなるどと、翔だけだもんね、持っているの!」

「だからね、きっとこれにお願いすれば、願い事が叶うかも知れないわよ?」

「そうだよ!だって、お星様の砂だもんな!今日は七夕だから、今日中にお願いしなきゃ!」

それを聞いたリカルドは、慌てて小瓶を両の手の間に挟み、窓の外に向いて、そこから見える星々に向かって大声でお願いをする。

「新しいサッカーボールをもらえますように~!」

「あっ、あたしも、あたしも――!えっと、えっとね――…。」

その様子に自分も、と思った未来も、並んで星に向かって大声で叫び始めた。

「…まぁ。お姉ちゃん達ったら、欲張りさんね~?翔~、フフフ…。」

2人のそんな愛らしい様子を微笑ましく見つめながら、膝上のキョトンとした目で見つめる幼い翔に、優しく頬を擦り寄せる彼女であった。

おわり。

|

« 君の生まれた日に | トップページ | はじめに »

コメント

マイビューティフルプレイス聴こうっと
・・・・・・バボん家の空は
分厚い 嫌み雲の空だよ~ヽ( ̄▽ ̄)ノ

投稿: 敦賀屋 バボ | 2014年7月 7日 (月) 00時51分

sun敦賀屋バボさま。
お久しぶりです~。(*´人`*)
いつも気にして下さって、有難うございます。
台風がお互いに通過しそうですね~。
こんな時は、原作のDVDを見るに限ります。
ヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ

投稿: 理沙 | 2014年7月 7日 (月) 18時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 君の生まれた日に | トップページ | はじめに »